第98回東京箱根間往復大学駅伝競走 東洋大学全成績


トップ頁に戻る
【レースを振り返って(管理人の私的戦評・総括)】
  前回大会に引き続きコロナ禍での開催となった第98回箱根駅伝。鉄紺東洋は80回目の節目の出場となり、往路優勝と総合3位以上を目標に掲げレースに臨んだ。大本命の青学大を中心に、トラック記録では推し量れない戦力拮抗のレース展開の中で、鉄紺東洋は往路9位と想定外の順位で苦戦したものの、復路のメンバーで巻き返し、総合3位にあと2秒の僅差にまで詰め寄る底力を発揮し、復路・総合の鉄紺記録を更新する総合4位でフィニッシュした。鉄紺東洋の総合4位は珍しく、昭和43(1968)年の第44回大会以来54年ぶり3回目である。
 結果だけ見れば、鉄紺東洋は総合2位の順大に26秒差にまで追い上げたものの、総合優勝を果たした青学大は復路・総合ともに新記録を打ち立て、2位に10分51秒もの大差は平成時代以降で最大差となる圧勝であった。
 鉄紺東洋にとっては、往路の終了時点で往路優勝した青学大とのタイム差が6分28秒の9位であったため、逆転優勝はおろかシード権確保にも厳しい状況に直面していたが、復路の1年生から4年生までの5人がそつなく鉄紺の襷をつなぎ切り、復路2位で存在感を示した。青学大の他に優勝候補と目される各大学が復路に入って脱落していく中で、鉄紺東洋は1秒をけずりだす走りを体現して総合4位にまで順位を押し上げたことは、来季に向けて大きな収穫となったと同時に、圧倒的な走力により区間新を連発する走りを見せた青学大の選手たちとの、現在地における走力差を見せつけられたので、来シーズンの三大駅伝、特に箱根駅伝で青学大に対校するためには、相当な覚悟と努力をもってして挑まなければならないということが証明された大会でもあった。
  レースを振り返ると、前回に引き続き1区スターターを担った児玉選手は、6キロ過ぎから独走態勢に入った中大・吉居選手のはるか後方に位置する2位集団の中で耐え、終盤に差し掛かり集団から遅れだしたものの、吉居選手と1分27秒差、区間2位の駒大・唐澤選手とは46秒差の区間12位でしのぎきった。
 2区・松山選手も昨年に続いてエース区間を担い、全日本駅伝での不調を払拭する冷静な走りで順調にラップを刻み、4人抜きの快走で順位を8位に押し上げ、区間順位は5位だが昨年の記録を13秒更新する1時間07分02秒の記録を叩き出した。この記録は、服部勇馬選手が第92回大会の最終学年で区間賞を獲得した時の記録を2秒上回っており、また、前回大会では相澤晃選手が2年生で2区に出走した第94回大会での記録をも上回っていることから、松山選手には歴代の“鉄紺のエース”を超えるポテンシャルがあることが証明された。
 3区の佐藤選手は箱根初出走であるが、3区の歴代で5人目となる1時間2分台の粘り強い走りで順位を5位にまで引き上げた。
 4区の木本選手は昨年の夏合宿以降に伸びてきた選手であり、前半の10キロまでは前を行く駒大・花尾選手に食らいつく粘りの走りを見せたが、次第に差を広げられ、区間18位で順位は6位から12位にまで後退した。三大駅伝初出走で上位争いを経験したことは、来季に向けて更に飛躍するための糧にしてほしい。
 5区の宮下主将は、想定外の順位で襷を受けた中でも冷静かつ果敢に前を追う粘りの走りを見せ、自身の区間記録からは2分近く遅れたものの、区間8位で順位も3つ押し上げ往路9位で復路につないだ。
 鉄紺東洋の箱根駅伝出場80回の歴史において、3年連続で5区を出走したのは柏原竜二さん以来で、鉄紺歴代では池中康雄さん、中野照雄さん、内山末男さん、宍戸英顕さん、仙内勇さん(4年連続)に次いで7人目であり、このうち区間賞を獲得したのは池中さん、柏原さんに次いで宮下主将は3人目の偉業となる。宮下主将は“鉄紺クライマー”として鉄紺東洋の歴史にその名を刻んだ。
 6区の九嶋選手は前回大会に続いで復路のスターターを担い、区間順位は10位であったが前回の記録を40秒以上更新する堅実な走りを見せた。
 7区の梅崎選手はメンバー唯一の1年生として全日本に続いて起用され、区間順位は11位であるが区間6位とはわずか7秒差であり、終盤の1秒をけずりだす走りで来季の主力となることが期待される。
 8区の蝦夷森選手は、2年次の7区に次いで2度目の箱根であったが、4年生らしい心意気を全身から発する粘りの走りで果敢に前を追い、8位と7位がすぐ先に見える位置にまでチームを押し上げた。
 9区の前田選手は、副将として今季の三大駅伝全てに出走してチームをけん引してきた。蝦夷森選手から託された襷を力に変えて、9区の鉄紺記録を更新する1時間8分台・区間5位の力走で6位と5位が見える位置にまで順位を2つ押し上げた。
 10区・アンカーも前回に続いて清野選手が担い、今季の三大駅伝は初出走ながら区間記録に迫る積極果敢な攻めの走りで前を追い、ラスト500m地点では3位の駒大の前に出る驚異の追い上げを見せたが最後は振り切られ2秒差の総合4位でレースを終えた。
 第98回箱根駅伝では、往路は9位であるものの松山選手のエースの走りもあり前回大会よりも記録が向上しており、復路に至っては第96回大会で樹立した鉄紺復路記録を更新する復路2位で駆けぬけ総合4位となった。
 10時間54分59秒の総合記録は鉄紺新記録であり、今回のメンバーは区間賞こそ獲得できなかったが全員駅伝で箱根路に挑んだ底力と“鉄紺スピリッツ”は十分に証明されたように思う。
 「鉄紺の証明」の結果では、今季の“チーム鉄紺”における宮下主将のキャプテンシーの証明、まだまだ伸びしろのある期待の選手が多いことの証明、三大駅伝制覇に向けて青学大の壁がかなり厚く高いことの証明など様々なことが挙げられるが、何よりも、我々鉄紺ファンの胸を熱くさせ、これからも応援したくなるチームであると改めて証明されたことが一番大きかったのではないだろうか。
2022(R4)年1月2日(往路)・3日(復路)  東京・読売新聞社前〜箱根・芦ノ湖(217.1km)
総合4位(往路9位・復路2位)
通算記録 10時間54分59秒〔往路で苦戦も復路記録と総合記録を更新!〕
復路で巻き返し3位駒大とわずか2秒差で17年連続シード確保!
往路区間 1区
大手町〜鶴見

<21.3km>
2区
鶴見〜戸塚
<23.1km>
3区
戸塚〜平塚
<21.4km>
4区
平塚〜小田原
<20.9km>
5区
小田原〜箱根町
<20.8km>
往路成績
107.5km
氏名・学年 児玉悠輔・3 松山和希・2 佐藤真優・2 木本大地・3 宮下隼人・4
出身高校 東北 学法石川 東洋大牛久 東洋大牛久 富士河口湖
区間記録 1.02.07 1.07.02 1.02.46 1.04.17 1.12.09
区間順位 12位 5位 8位 18位 8位
往路記録 1.02.07 2.09.09 3.11.55 4.16.12 5.28.34 5.28.34
往路順位 12位 8位 6位 12位 9位 9位
東洋記録 田口雅也
(90・2014)
1.01.46
相澤 晃
(96・2020)
1.05.57
設楽悠太
(90・2014)
1.02.13
相澤 晃
(95・2019)
1.00.54
宮下隼人
(96・2020)
1.10.25
(95・2019)
5.26.31

区間記録
吉居大和
(中大)
1.00.40
ヴィンセント
(東国大)
1.05.49
ヴィンセント
(東国大)
59.25
吉田祐也
(青学大)
1.00.30
宮下隼人
(東洋大)
1.10.25
青学大
(96・2020)
5.21.16
復路区間 6区
箱根町〜小田原

<20.8km>
7区
小田原〜平塚
<21.3km>
8区
平塚〜戸塚
<21.4km>
9区
戸塚〜鶴見
<23.1km>
10区
鶴見〜大手町
<23.0km>
復路成績
109.6km
氏名・学年 九嶋恵舜・2 梅崎 蓮・1 蝦夷森章太・4 前田義弘・3 清野太雅・3
出身高校 小林 宇和島東 愛知 東洋大牛久 喜多方
区間記録 59.19 1.04.13 1.05.04 1.08.59 1.08.50
区間順位 10位 11位 4位 5位 2位
復路記録 59.19 2.03.32 3.08.36 4.17.35 5.26.25 5.26.25
(東洋復路記録更新)
復路順位 10位 8位 6位 2位 2位 2位
総合記録 6.26.28 7.32.06 8.37.10 9.46.09 10.54.59 10.54.59
(東洋記録更新)
総合順位 9位 9位 9位 7位 4位 4位
(17年連続シード)
東洋記録 今西駿介
(96・2020)
57.34
設楽悠太
(88・2012)
1.02.32
大津顕杜
(88・2012)
1.04.12
前田義弘
(98・2022)
1.08.59
清野太雅
(98・2022)
1.08.50
(98・2022)
5.26.25
区間記録
館澤亨次
(東海大)
57.17
阿部弘輝
(明大)
1.01.40
小松陽平
(東海大)
1.03.49
中村唯翔
(青学大)
1.07.15
中倉啓敦
(青学大)
1.07.50
青学大
(98・2022)
5.21.36
(復路新)
※今大会は区間賞が無かったため 第97回大会以来2年連続区間賞無し
※2区・松山選手の区間記録は前回大会の記録を13秒上回り服部勇馬選手の記録を上回り鉄紺歴代2位記録に!
※9区・前田選手と10区・清野選手は区間賞ならずも鉄紺記録を大幅更新の大健闘!

第98回東京箱根間往復大学駅伝競走の結果
順位 大学名 総合タイム  備考(区間賞獲得者)
青山学院大学 10.43.42
総合新記録
7区・岸本、9区・中村(区間新)、10区・中倉(区間新) 
順天堂大学 10.54.33 6区・牧瀬、8区・津田
駒澤大学 10.54.57 2区・田澤
東洋大学 10.54.59
東京国際大学 10.55.14 3区・丹所
中央大学 10.55.44 1区・吉居(区間新)
創価大学 10.56.30 4区・嶋津  
國學院大學 10.57.10  
帝京大学 10.58.06 5区・細谷
10 法政大学 10.58.46
       ※以上10校が来年のシード権を獲得
11 東海大学 10.59.38
12 神奈川大学 11.00.00  
13 早稲田大学 11.00.03  
14 明治大学 11.00.28
15 国士舘大学 11.03.06
16 中央学院大学 11.07.33
17 日本体育大学 11.11.11
18 山梨学院大学 11.11.21
19 駿河台大学 11.13.42
20 専修大学 11.15.09  
関東学生連合 (11.00.25) ※オープン参加のため参考記録
この頁の先頭に戻る