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【レースを振り返って(管理人の私的戦評・総括)】
  「その一秒をけずりだせ」。前回大会、わずか“21秒差”で3連覇を逃した鉄紺東洋が掲げた今季の駅伝テーマである。“1秒”にこだわるチームへ、柏原主将、副将の宇野選手と川上選手、寮長の藤野選手の3役体制のもと、チーム一丸となって“大学三大駅伝3冠”をめざした。
  3月の大震災による影響を乗り越え、4年生の結束がチームをけん引し、チームを鼓舞した。
  出雲駅伝では、スターターを務めた柏原主将の心意気がメンバーに力を与え、3区間連続区間賞でトップを快走し、悲願の初優勝を遂げた。続く全日本大学駅伝では、序盤、中盤で駒大に先行され、アンカーの柏原主将の猛追及ばず“33秒差”で惜しくも2冠目を逃した。
  そして迎えた第88回箱根駅伝、チーム一丸となって昨年の悔しさを晴らす快走を期した。
  往路は、1区・宇野選手、2区・設楽啓選手、3区・山本選手、4区・田口選手、5区・柏原主将とつなぎ、4年連続4回目の往路優勝を達成した。往路では初優勝からの4連覇は史上初の快挙である。柏原主将の4年連続区間賞は史上8人目の偉業であり、5区では史上2人目だ。
  さらに、往路の5人全員が東洋記録更新し、区間賞を2個獲得したのは鉄紺史上初である。
  このような記録づくめの往路の激走により、前回に鉄紺東洋がマークした往路記録を5分05秒も短縮して「5時間24分45秒」という大記録を叩き出した。
  来年の5区には柏原主将はいない。柏原主将を上回る走りをする選手はそう簡単には育成できないだろう。しかし、仮に5区で数分のタイムロスがあったとしても、区間最高記録と東洋記録で1分以上の開きがある1区、2区、3区、そして区間最高記録まであと「11秒」に迫った4区において、区間最高記録に匹敵する走りをめざせば、来季も今年と遜色ない記録で「往路5連覇」も可能だろうとポジィティブに考えることができる。
  復路は、2位に5分以上の大差をもってスタートしたが、6区・市川選手、7区・設楽悠選手、8区・大津選手、9区・田中選手、10区・斎藤貴選手全員が攻めの走りを貫いた。その結果、復路でも最高記録を更新し、総合記録では前回大会で早大がマークした記録を8分15秒も更新する「10時間51分36秒」という空前絶後の超記録を打ち立てた。
  選手たちの頑張り、チーム全体の一体感といった「総合力」もさることながら、明確な指導方針、着実な育成、的確な采配など、監督就任3年目にして「酒井イズム」がここに結実した感がある完全無欠の総合優勝であった。
  戦前、監督が「地に足をつけて、部員一同総力戦で臨む」と語っていたように、日々の生活における基本の徹底や学業と競技の両立を通して、中・長期的な視点に立ち、目先の勝利にも慢心せず、柏原主将だけに頼らないチームづくりをめざした結果がもたらした勝利であったと思う。
  昨年の大会後、ミーティングで酒井監督が選手たちに伝えた「もう戦いは始まっているんだよ。今回乗り越えることができなかった山を、来季みんなでしっかり登りつめよう」という言葉どおり、鉄紺東洋は見事に雪辱した。しかし今回の鉄紺東洋完全優勝は、同時に箱根駅伝が「超高速化」の時代に突入したことを意味する。区間新2つを含め6区間で区間賞を獲得するほどの圧勝は、他校に衝撃とともに高いレベルでの闘争心を与えたに違いない。
  来年、鉄紺東洋が連覇を達成するには、選手一人ひとりが目標に向けて昨年以上に高い意識を持ち続け、チームも堅い団結力をもって臨まなければ足元をすくわれるだろう。
  来年も鉄紺が再び輝くためには、箱根を走った経験者だけのレベルアップでは勝てない。むしろ、今回走れなかった選手たちの飛躍が不可欠だ。チャンスは全員にある。
  ともあれ、平成24(2012)年の東洋大学創立125周年に華を添える第88回箱根駅伝での完全優勝は、鉄紺東洋の箱根駅伝出場70回目の節目にふさわしい素晴らしい偉業であった。
  来季は出雲と箱根「連覇」、そして再び「3冠」をめざして、「感謝」と「心意気」を胸に、新たな鉄紺の歴史を築き上げるためにチーム一丸となってがんばってほしい。
  「輝け鉄紺!」は、今年も多くの鉄紺ファンとともに選手たちを応援し続ける。
2012(H24)年1月2日(往路)・3日(復路) 東京・読売新聞社前〜箱根・芦ノ湖(217.9km)
総合成績 優勝(往路・復路優勝)(通算記録 10時間51分36秒)
(往路新・復路新・総合新記録の完全独走で2年ぶり3度目の総合優勝!)
往路区間 1区
大手町〜鶴見

<21.4km>
2区
鶴見〜戸塚
<23.2km>
3区
戸塚〜平塚
<21.5km>
4区
平塚〜小田原
<18.5km>
5区
小田原〜芦ノ湖
<23.4km>
往路成績
108.0km
氏名・学年 宇野博之・4 設楽啓太・2 山本憲二・4 田口雅也・1 柏原竜二・4
出身高校 武蔵越生 武蔵越生 遊学館 日章学園 いわき総合
区間記録 ☆1.02.34 ☆1.08.04 ☆1.02.43 ☆54.45 ◎☆1.16.39
区間順位 4位 2位 2位 1位 1位
往路通算 1.02.34 2.10.38 3.13.21 4.08.06 5.24.45 5.24.45
往路順位 4位 1位 1位 1位 1位 1位
東洋記録 宇野博之
(88・2012)
1.02.34
設楽啓太
(88・2012)
1.08.04
山本憲二
(88・2012)
1.02.43
田口雅也
(88・2012)
54.45
柏原竜二
(88・2012)
1.16.39
(88・2012)
5.24.45
区間記録
佐藤悠基
(東海大)
1.01.06
モグス
(山梨学大)
1.06.04
コスマス
(山梨学大)
1.01.38
西村知修
(帝京大)
54.34
柏原竜二
(東洋大)
1.16.39
東洋大
(88・2012)
5.24.45
復路区間 6区
芦ノ湖〜小田原

<20.8km>
7区
小田原〜平塚
<21.3km>
8区
平塚〜戸塚
<21.5km>
9区
戸塚〜鶴見
<23.2km>
10区
鶴見〜大手町
<23.1km>
復路成績
109.9km
氏名・学年 市川孝徳・3 設楽悠太・2 大津顕杜・2 田中貴章・4 齋藤貴志・3
出身高校 高知工業 武蔵越生 千原台 稲生 仙台育英
区間記録 ☆59.16 ◎☆1.02.32 ☆1.04.12 1.11.06 1.09.45
区間順位 1位 1位 1位 6位 1位
復路通算 59.16 2.01.48 3.06.00 4.17.06 5.26.51 5.26.51
復路順位 1位 1位 1位 1位 1位 1位
通算記録 6.24.01 7.26.33 8.30.45 9.41.51 10.51.36 10.51.36
通算順位 1位 1位 1位 1位 1位 1位
東洋記録 市川孝徳
(88・2012)
59.16
設楽悠太
(88・2012)
1.02.32
大津顕杜
(88・2012)
1.04.12
田中貴章
(87・2011)
1.09.46
山本憲二
(87・2011)
1.09.36
(88・2012)
5.26.51
区間記録
千葉健太
(駒大)
58.11
設楽悠太
(東洋大)
1.02.32
古田哲弘
(山梨学大)
1.04.05
篠藤 淳
(中学大)
1.08.01
松瀬元太
(順大)
1.08.59
東洋大
(88・2012)
5.26.51
※☆印の1区・宇野、2区・設楽啓、3区・山本、4区・田口、5区・柏原、6区・市川、7区・設楽悠、8区・大津選手が 東洋大学区間記録を更新!(◎は区間新記録!)
第88回東京箱根間往復大学駅伝競走の結果
順位 大学名 総合タイム  備考 ※区間賞獲得者
東洋大学 10.51.36 2年ぶり3度目の総合優勝!  4区・田口、5区・柏原、
6区・市川、7区・設楽悠、8区・大津、10区・齋藤貴
駒澤大学 11.00.38 9区・窪田
明治大学 11.02.50
早稲田大学 11.03.10 1区・大迫
青山学院大学 11.08.46 2区・出岐
城西大学 11.10.17
順天堂大学 11.11.15
中央大学 11.11.17
山梨学院大学 11.12.38 3区・コスマス
10 國學院大學 11.13.42 ※以上10校が来年のシード権を獲得
11 国士舘大学 11.16.47
12 東海大学 11.17.14
13 帝京大学 11.18.58
14 拓殖大学 11.20.21
15 神奈川大学 11.20.22
16 上武大学 11.20.43
17 関東学連選抜 11.21.36
18 中央学院大学 11.21.41
19 日本体育大学 11.22.26
20 東京農業大学 11.44.16
※東洋大学のタイムは総合新記録!
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