【レースを振り返って(管理人の私的戦評)】
出雲は完敗の2位、全日本は惜敗の2位。レースの展開は違っていても、両大会とも優勝チームが大会新記録を叩き出している点において、鉄紺東洋の強化以上に他校もハイレベルな強化が進んでいることを物語っている。それは、今年の箱根で鉄紺東洋が空前絶後の大記録を叩き出したことに端を発し、それを目の当たりにした各校が危機感を抱いたことが根底にあるだろう。
今大会の結果は悔しい2位ではあるが、酒井監督の就任から4年目、鉄紺史上最強のエース・柏原選手が卒業した後の新しいチーム作りは着実に進んでいる。それは、今回の全日本大学駅伝のメンバーをみても明らかである。1区で区間賞を獲得した田口選手は強さと安定感を増強させ、延藤選手と佐久間選手は三大駅伝初出場にしてしっかりと役割を果たした。ツインエース設楽兄弟だけに頼らず、次々と主力級が登場してくるところに今の鉄紺東洋の強さがある。
ただ、あと一歩のところで優勝に届かなかったのは、駒大の選手たちと比べて「何か」が、ほんのわずか足りなかった。しかし、それは「優勝」するためには絶対不可欠な「要素」であると思う。
箱根駅伝まであと50日あまり、酒井監督の指導のもと、足りなかったものは「何なのか」を追求し、それを埋めるための努力を今日も選手たちはしているにちがいない。その先に“箱根連覇”をしっかりと見据えながら。
最後に、アンカーを務めた服部選手について。高校時代から常にエースとして活躍してきた服部選手にとって、1分以上のリードを逆転され、“49秒差”の2位でゴールしたことに力不足を感じたと同時に、自身のプライドも傷ついたのではないか。トップで襷を渡されたときの高揚感と初優勝を託された使命感、駒大の大エース・窪田選手に追われる恐怖感、未知の距離に対する不安感、追い抜かれたときの屈辱感など、様々な感覚が入り混じる中でのレースは、将来に向けては最高の舞台であったと思う。「エース」と呼ばれる選手はどのような存在なのか・・・・・、鉄紺東洋の次代のエースを担う服部選手にとって、避けては通れない経験をしたと思う。その経験を糧として、次にどう活かしていくのか、これからも服部選手に注目し、応援していきたい。
あの柏原選手でさえ、最後の箱根では有終の美を飾ったものの、4年間の様々なレースを振り返ってみると、決して平たんではなかった。
がんばれ勇馬!、恐れず勇ましく、そして駿馬のごとく箱根路を駆け抜けろ!
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