【レースを振り返って(管理人の私的戦評)】
「冒険」。終わってみれば“箱根初制覇”に向けてあらためて「挑戦」できる結果だったと思います。鉄紺東洋が全日本大学駅伝に初出場した昭和48(1973)年の第4回大会以来の4位となり、次大会のシード権を確保したことは、現状でのチーム力が高まっていることの証であり、あと数人、箱根の経験者が合流するであろう勝負の箱根では、さらに上位で戦える自信にもつながったことでしょう。
その一方で、選手によっては明暗がはっきりと別れたカタチの結果であり、あと2か月、箱根に向けて今一度選手個々のボテンシャルを高め、チーム力を磨き上げるための自信と経験を掴むことができた大会であったと思います。
1区の大西智選手は、いつもどおり心意気を前面に出した力強い走りで大学駅伝初の区間賞を獲得し、6年前の第34回大会における1区・三行選手のシーンを思い起こさせる見事な快走でした。2区の柏原選手は、いい流れの中でどれだけ高度な走りを見せてくれるのか注目していましたが、予想どおりというか予想以上の大器の走りで連続区間賞で襷をつなぎました。3区の高見選手は、大学駅伝初登場でしたが、潜在能力の高さを証明する冷静かつ着実な走りでトップを快走、距離への対応ができればエースに成長するだろうと感じました。4区の山本選手は、大学駅伝では昨年の出雲以来のレースであり、表情からはやや慎重になりすぎていたように見えましたが、実力は大学トップクラスであることは間違いないので、最後の箱根では強気で、完全燃焼する気概で区間賞を狙いにいってほしいと思います。5区の森選手と6区の飛坂選手は、上級生の経験と実力を心意気に変えて、もう少し積極果敢な攻めの走りを見せてほしかったです。7区の世古選手も大学駅伝デビュー戦で、序盤は相手に食らいつく粘りの走りを見せてくれましたが、終盤突き放されたことで、箱根のメンバー入りに向けた経験と課題が明確になったレースだったと思います。世古選手の引き締まった表情を、ぜひ箱根で見てみたいと思いました。6区アンカー大津選手は、2年生にして経験、安定感とも抜群の選手で、必ず順位を押し上げてくれると期待を込めて見ていました。その期待どおりの見事な走りでアンカーの大役を果たしてくれました。テレビに映った大津選手の積極的で自信あふれた表情がとても印象的でした。
とはいえ、全日本大学駅伝3連覇を達成した駒大とは、現時点では「差」があることは事実だと思います。しかし、その差が決して埋められない、決定的な差であるかといえばそうではないと思います。選手個々の実力、全体のチーム力の差ではなく、あるとすれば、昨年も書きましたが、それは「勝ちへのこだわり」、言い換えれば「勝負への執念」ではないでしょうか。「“出場するために選ばれた”のではなく、“勝つために選ばれた”という気持ち、「勝負」にこだわった走りが、差となってあらわれているのではないでしょうか。
ともあれ、遠路伊勢路で活躍された選手のみなさん、川嶋監督をはじめスタッフ関係者のみなさんお疲れ様でした。箱根まであと2か月、チームエントリー16名が決まるのはおよそ1か月後ですが、焦らず、たゆまず、“いざ、箱根”に向け、チーム一丸となって高みを目指してください。
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