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【レースを振り返って(管理人の私的戦評)】
 川嶋監督勝負の5年目の今季は、春先からトラックでの好記録が相次ぎ、秋のロードシーズンでもハーフの記録が飛躍的に伸びるなど、川嶋イズムの浸透とともに鉄紺東洋は確実に強くなりました。それを証明するように、出雲駅伝では史上初の3位入賞、続く全日本大学駅伝でも最終区で惜しくもシード権は逃したものの、終始上位に食らいつく勝負強さを発揮しました。
 そして迎えた65回目の箱根駅伝、将来に優勝を見据え「総合3位」を掲げた川嶋監督にとって、5年目の最高位とはいえ5位という結果はとても微妙な心境でしょう。5位は鉄紺東洋にとっては38年ぶりで、4位であったなら39年ぶり、3位にいたっては実に47年ぶりでしたが、川嶋監督の目標はあくまでも「初優勝」。しかしながら、今年は「たら・れば」を持ち出さずとも総合3位に見合う力は間違いなくあったと思います。ただ、結果として届かなかったのはなぜなのか、何が足らなかったのか・・・。
 「勝に不思議の勝あり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。常勝チームとなり黄金時代を築き上げるその前に、まだやり残している「何か」があるのかもしれない。それは川嶋監督自身にも、もちろん選手一人ひとりにも、チーム全体にも・・・。その答えは、これから1年間かけて日々追い求め、来年、結果として見せてほしいと願います。
 1区の大西智也選手は、前回の苦い経験を糧にシーズンを通して見事飛躍を果たしました。箱根路は4年間走り続けて「記憶」と「記録」を残してください。
 2区の黒ア選手は、実力どおり2年連続の快走。陸上競技だけでなく、日常生活から学業まで高い意識を持って取り組むクレバーな黒ア選手の走りに“心意気”を感じました。
 3区の山本選手も、過去の駅伝での悔しい思いをプラスにかえて結果を出しました。「自信」と「課題」の両方を見つけ出したと思うので、もっともっと強くなるために常に「上」を意識して。
 4区の飛坂選手は、持ち前の明るさとスピード感あふれる走りで初の箱根路を快走。スピードと持久力を高め、次の箱根では明るくトップを独走してほしい。
 5区の釜石選手。脱水症状を起こし、昨年の大西智也選手と同じく“山の洗礼”を浴びました。その経験を大西選手は見事に飛躍への糧にしました。それができるかできないかは釜石選手自身にかかっています。結果について「深刻」になる必要はありません。「真剣」になればいいのです。「何くそ」の気持ちを忘れずに、来季はトラックにロードに大活躍する釜石選手を楽しみにしています。
 6区の大西一輝選手。秋はなかなか結果が出ずに苦しんでいたようですが、それらをすべて払拭する見事な快走。末上主将の思いを受け継ぐ“心意気”を感じました。
 7区の森選手。今堀選手の代わりとはいえ、これまでの努力で掴んだメンバー入り。森選手の粘りの走りが復路3位・総合5位につながったと思います。来季はこの経験を活かし、「勝つ」ためのメンバーとして2度目の箱根路に挑戦してください。
 8区の北島選手。4年間ケガとの闘いでしたが、終わってみれば2度の箱根、最後には区間賞を獲得し、「北島寿典」の名をしっかりと箱根駅伝の歴史に刻みつけました。テレビにはほとんど映らなかったようですが、沿道の人々は8区の鉄紺ランナーの激走をしっかりと記憶しているでしょう。卒業後は、実業団でその実力をいかんなく発揮して、長く活躍してほしいと願っています。
 9区の川畑選手。川嶋監督がその潜在能力を見出し、1年生から三大駅伝に起用され続けるも結果に結びつかず、3年生では箱根路を走れませんでした。このまま「未完の大器」で終わるのかと心配していたら、昨夏に参加した実業団合宿をきっかけに眠っていた実力が開花し、最後の三大駅伝では力強く安定した走りを見せてくれました。最後の箱根では区間6位、実業団ではさらなる活躍を期待しています。
 10区アンカーを務めた駅伝主将の尾田選手。4年生トリオの3人目として集大成の走りを心に期して臨み、一時は4位の日体大に追いつく気迫の走りでしたが、その後離されて区間8位の総合5位でゴール。レース後の慰労会、挨拶の途中で言葉を詰まらせた尾田選手は自分の走りに対する悔しさが込み上げてきたのでしょう。でも、後輩たちはその思いをしっかりと胸に刻みつけたと思います。尾田選手も鉄紺OBとして実業団で飛躍する日を楽しみにしています。
 そして、今回16人のメンバーの中で箱根路を走れなかった猪瀬選手、悔しい思いはあると思いますが、その思いをプラスのエネルギーに変えて社会人として頑張ってください。そして、今堀選手、櫻井選手、男・宮田選手、坂本選手、澤田選手はまだ来年があります。“心意気”を忘れずに、今度こそ箱根路を思い切り駆けぬけてください。
 最後に。この春卒業する末上主将の学年は13名。レース後の慰労会で、全員が壇上に上がって挨拶していました。末上・尾田・北島・川畑・猪瀬・宮下・金田・高島・佐藤・富田・城戸口・中野選手、そして吉澤主務。4年間ともに過ごした仲間。貴甘坊さんの写真の中で、北島選手に水を渡している選手はたしか4年生の城戸口選手じゃないかと思います。選手として走れなくても、4年生として与えられた役割をしっかりこなす。他の4年生も各地点でそれぞれ選手のサポートをしていたことでしょう。箱根駅伝では、サポートでも4年生の果たす役割が大きいのだなとあらためて感じました。
 卒業後はそれぞれ歩む道は違いますが、川嶋監督のもと、陸上競技を通じて培った“心意気”を胸に頑張ってほしいと思います。箱根駅伝は4年間が勝負ですが、社会に出てからはもっと長く勝負しなければなりませんから。
 今回は、なんとなく後半が「日々雑感」的になってしまいました・・・。
総合5位の選手たち
38年ぶりの総合5位を果たした選手たち(第83回大会)
管理人撮影
H19・2007年1月2日(往路)・3日(復路)  東京・読売新聞社前〜箱根・芦ノ湖(217.9km)
総合成績  第5位(通算記録 11時間16分59秒)
38年ぶりの総合5位!(2年連続シード)
往路区間 1区
大手町〜鶴見

<21.4km>
2区
鶴見〜戸塚
<23.2km>
3区
戸塚〜平塚
<21.5km>
4区
平塚〜小田原
<18.5km>
5区
小田原〜芦ノ湖
<23.4km>
往路成績
108.0km
氏名・学年 大西智也・2 黒ア拓克・3 山本浩之・2 飛坂篤恭・2 釜石慶太・1
出身高校 県岐阜商業 大田原 川口北 美方 仙台育英
区間記録 1.05.07 1.08.09 1.04.02 56.00 1.26.30
区間順位 2位 3位 5位 5位 17位
往路通算 1.05.07 2.13.16 3.17.18 4.13.18 5.39.48 5.39.48
往路順位 2位 2位 3位 2位 10位 10位
東洋記録 渡辺史侑
(81・2005)
1.03.25
黒ア拓克
(83・2007)
1.08.09
山本浩之
(83・2007)
1.04.02
飛坂篤恭
(83・2007)
56.00
大西智也
(82・2006)
1.23.24
(82・2006)
5.36.37
区間記録
佐藤悠基
(東海大)
1.01.06
三代直樹
(順大)
1.06.46
佐藤悠基
(東海大)
1.02.12
村上康則
(順大)
55.20
今井正人
(順大)
1.18.05
山梨学大
(79・2003)
5.31.06
復路区間 6区
芦ノ湖〜小田原

<20.8km>
7区
小田原〜平塚
<21.3km>
8区
平塚〜戸塚
<21.5km>
9区
戸塚〜鶴見
<23.2km>
10区
鶴見〜大手町
<23.1km>
復路成績
109.9km
氏名・学年 大西一輝・2 森 雅也・2 北島寿典・4 川畑憲三・4 尾田寛幸・4
出身高校 県岐阜商業 諫早 群馬中央 川越南 熊本国府
区間記録 1.00.02 1.06.44 1.06.28 1.11.43 1.12.14
区間順位 4位 11位 1位 6位 8位
復路通算 1.00.02 2.06.46 3.13.14 4.24.57 5.37.11 5.37.11
復路順位 4位 6位 4位 4位 3位 3位
通算記録 6.39.50 7.46.34 8.53.02 10.04.45 11.16.59 11.16.59
通算順位 8位 7位 5位 5位 5位 5位
東洋記録 末上哲平
(82・2006)
59.40
山本浩之
(82・2006)
1.05.48
北島寿典
(83・2007)
1.06.28
鈴木北斗
(81・2005)
1.10.08
鈴木北斗
(80・2004)
1.10.42
(83・2007)
5.37.11
区間記録
金子宣隆
(大東大)
58.21
武井隆次
(早大)
1.02.53
古田哲弘
(山梨学大)
1.04.05
塩川雄也
(駒大)
1.08.38
松瀬元太
(順大)
1.08.59
駒大
(78・2003)
5.28.47
※2区の黒ア選手、3区の山本選手、4区の飛坂選手、8区の北島選手が東洋大学区間記録を
  更新! さらに復路記録も更新!
第83回東京箱根間往復大学駅伝競走の結果
順位 大学名 総合タイム  備考(区間賞獲得者)
順天堂大学 11.05.29 4区・佐藤、5区・今井(区間新)、9区・長門、10区・松瀬(区間新)
日本大学 11.11.42 6区・末吉
東海大学 11.12.07 1区・佐藤(区間新)
日本体育大学 11.16.44 7区・鷲見
東洋大学 11.16.59 8区・北島
早稲田大学 11.17.29 2区・竹澤
駒澤大学 11.18.09
中央大学 11.18.41 3区・上野
専修大学 11.18.42
10 亜細亜大学 11.19.14 ※以上10校がシード権獲得
11 城西大学 11.20.50
12 山梨学院大学 11.21.27
13 中央学院大学 11.21.30
14 大東文化大学 11.25.30
15 法政大学 11.27.46
16 明治大学 11.27.57
17 神奈川大学 11.33.20
18 國學院大學 11.34.09
19 国士舘大学 11.36.30
20 関東学連選抜 11.41.53
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